菊回廊と紅葉
奈良県長谷寺 

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   同人作品(石井いさお 抽
     赤蜻蛉群れゐる音のなかりけり
赤松由美子
     あやとりの指に秋気やちひろの画 青木喜美子
     草刈つて虫の声をも刈りにけり
矢守 絢子
     火の尾引き燃ゆる機影や秋夕焼
葛家いいち
     幼子の指全開の林檎狩
西岡佐和子
     萩ゆるる風の軽さに同化して 松葉ツヤ子
     三万食重機の混ずる芋煮会 小林ふみ子
     秋麗の掛緒切る音や「加冠の儀」
沖  節代
     一村が谺となりぬ運動会 小掠千代子
     法隆寺鏡池てふ水の秋 水谷 洋子
     横たはる裸婦画の中の青林檎 石田壽賀子
     穂芒の緩み初めは風知らず 舘 千恵子
     手放すこと先祖に告ぐる刈田かな 大道須美子
     ホスピスやスマホで郷の墓参 服部たけし
     突彫の小紋にも似て蕎麦の花 赤塚 靖子
     豊の秋紙一重浮く草刈り機 樋口 良子
     海一枚うねる白波台風来 寺本美和子
     野の風を滑らせ真白蕎麦の花 田坂 成子
     赤とんぼ無言の会話宙に群れ 水谷 岩夫
     萩が咲き萩散り志貴皇子想ふ 田端  薫
     山澄みて水澄む伊勢や新嘗祭
橋爪 貴子
     穂薄や星崎望む千鳥塚
磯谷 晋作
     稔田に明日に備えて稲刈り機 石田 立子
     腰掛に置きし切株茸生ふ 竹内美知子
     川釣りの帽を目深に鯊日和 牧  悦子
     炎暑かな火傷するほどボンネット 三原 勝雄
     時化過ぐや波と戦ひ昆布拾ふ 加藤 佳代
     捨て舟の底に蟋蟀誓子浜
松本 愛子
                          

 
   会友作品(石井いさお 選)
     障子貼る妣の教への糊加減
谷口 悦子
     大邸宅表札二枚新松子
松見たき子
     スピードを残してをりし秋の蝶
市川 敦子


 
   誌友作品(水野悦子 選)
     正倉院曝涼勅使の放つ麻の縄
名古恵美子
     風鈴や己の音に震へたり 木花  薫
     智恵子抄安達太良山と秋の空 羽田 雅子

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