同人作品（石井いさお 抽）
令和７年６月
| 花冷や淀君自刃の地の湿り |
豊田 征子 |
| 南吉生家古りしランプや梅真紅 | 中西久美子 |
| 春泥の足跡乱る道普請 | 宮本 裕子 |
| マップもて花の名所の道聞かる | 平見 久代 |
| 地球儀を右に廻して春立てり |
長澤むつ子 |
| 光研ぐ堰の切り口水の春 | 加曽利八重子 |
| 黄昏は昭和の風情霾の伊賀 | 天野 理江 |
| 春泥やピアスの女性志願兵 | 沖 節代 |
| 天空の旗や春曙の錦織 | 山下 慶子 |
| おもむろに語る再婚春ショール | 瀬川 友子 |
| 春囲炉裏熾が迎ふる飛驒の宿 | 西岡せつ子 |
| 鞍馬から花背峠へ百千鳥 | 赤塚 靖子 |
| 花烏賊のやはらかく出す中のもの | 樋口 良子 |
| 桜鯛撥ねて螺鈿の鱗散る | 寺本美和子 |
| 水温む釣道具屋の潮暦 | 北村みよ子 |
| くねくねと行き暮れてゐる蜷の道 | 佐野 弓子 |
| 嫋嫋と夜桜に浮くシテの舞 | 森 多恵子 |
| 牛の背の脈測りつつ春田打 | 福田 正 |
| 山火事の紅蓮の炎風も焼く | 伊藤 久子 |
| もう既読付かねど送る花だより | 伊藤 和子 |
| 風に揺れ枝垂るる桜光り合ふ |
高橋 進 |
| 田螺鳴く二男三男町へ出て | 今井 文雄 |
| 筆立てに耳掻き残る啄木忌 | 岩田 芳雄 |
| 蝌蚪生まる水のゆるみし所より | 伊藤 孝子 |
| 固まりて安心の円蛙の子 |
石井 洋子 |
| 羽拡ぐ鳳凰の如花枝垂れ | 山口 八重 |
| 紅極め蕾ひしめく初桜 | 榊原 惇子 |
| 木漏れ日の光の筋に蟻の列 | 内田 幸子 |
会友作品（石井いさお 選）
| 杉山ひろし | |
| 遙かなる斑鳩三塔胡沙来たる | 川口 義和 |
| 灯を消すと寒気濃くなる夕間暮れ |
藤堂加賀子 |
誌友作品（水野 悦子 選）
| せせらぎに光る千手の雪柳 | 伊藤百合子 |
| 菜の花や山影移り陰りけり | 荒川 敏明 |
| 走る子も杖つく人も花堤 | 尾崎眞理子 |
