#2


「なぁ、俺ら結局出しモン何すんだ?」

部活後、桜木と宮城は共に帰途についていた。

「さぁー・・・。でも、アヤちゃんが考える出し物は世界一スバラシイに間違いない…(ぶつぶつ)」

「…」

彼、宮城はとことん彩子に惚れていた。

「あ、彩子さん…」

桜木が呟くと、宮城はキッと睨みつけた。

「ぬぁ〜〜にが彩子さん、だぁ――――!!!

 馴れ馴れしい!!それに、同じ手には引っかからないぞ!!」
宮城の馴れ馴れしいという言葉の基準はよく解らないが、
以前宮城が桜木の狙いにひっかかた事があるのは確かだ。
桜木のフェイクにひっかかるとは、選手としての資質を問われる。

「いや、ほんとスよ。あっちのほうに彩子さんが…」

「…」

商店街の人だかりの、その向こうのほうに確かに彩子はいた。

「あー!!アヤちゃん…」

桜木がふと隣を見ると、そこにはもう宮城の姿はなく、彩子の隣で嬉しそうになつく姿がみえた。
それから程なくして、二人は人だかりにまぎれていった。

「・・・・・・。」




「・・・ぬぁ・・・なんスかこれぇ!!!アヤコさん!!!!!?」

翌日、部活終了後のミーティング(三井や、2年・1年の数名は居なかった。)に、
彩子の言葉に湘北高校体育館に動揺が走った。

「絶対無理・・・」

「ぼ、ボクちょっと・・・・・」

口々に恐怖におののくうめき声が聴こえる。
彩子が文化祭の出し物の候補を出したのだ。

「何スか、その『肉体美披露宴』ってゆうのは…。それにその、『女装コンテスト』も…。」

それは明らかにバスケ部の猛者(男)どもをダシに使う出し物だった。
しかし、彩子が一体誰をターゲットにしているのかはさだかではない。

 このバスケ部の尊厳を揺るがす危機に主将の宮城は青ざめながらも無表情に黙している。
きっと、昨日桜木と別れた後に、彩子に言いくるめられたのだろうと推測できる。
だが、さすがのアヤちゃんぞっこん宮城も、この出し物への提案を、みんなに勧めることはなかった。
あわよくば、桜木や、流川の反対をまっているのかもしれない。
 しかし、彩子の有利だった。

「春子ちゃん、楽しみにしてるって。」

神経衰弱の最後の2枚を取るより簡単に、桜木は見事に落ちた。
最後まで粘った流川も、「桜木に負けを認めるのねぇ〜?」
と、終始その調子で攻められ、ついに観念したようだ。

「じゃあ、さっきも言ったとおり、出し物の提案はこの二つ、
 『肉体美披露宴』と『女装コンテスト』よぉ!!みんな、どっちがいい?」

「・・・・・・・・・。」

腕を胸に組み、口を固く真一文字に結び、
苦虫をかみ締めるようにみな焦点の合わない目線を漂わせていた。
ただ、一人を除いては・・・

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