#1


夏のIHでは死闘を繰り広げた、湘北高校バスケットボール部。
三年の「赤木剛憲」「小暮公延」が引退して、はや3ヶ月ほどたった。
新たにマネージャーとして剛憲の妹、「赤木春子」が加わり、ケガでリハビリを続けていた桜木が復帰して少しになる。
秋も近づく今日この頃、湘北高校では11月3日に文化祭が催される。
それががなんと、毎年結構な盛り上がりをみせている。
各クラスや、部ごとに出し物をするのだが、
その中で一番利用者が多い処には豪華景品とくるのだから無理も無い。
・・・そう、例えばバスケ部とて、バスケ部とて例外ではない・・・


「文化祭、バスケ部も参加するからね!!」
フロアをモップで磨き終えた一年とそして二年、ただ一人三年の三井らが、
リョウタに号令をかけられ集まったところに彩子は突如そう告げたのだった。
そして、脇の壁には得意の墨字で「文化祭制覇」と書かれてある。
「そうだ、みんなちゃんとアヤちゃんに協力するんだぞ」
リョウタもキャプテンとしてか、それとも”アヤちゃん”の為か、 彩子の後に続いて付け加えるのだ。



「え゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?!」
初めに不満の声を上げたのは花道だった。
「・・・」
流川は黙って立ち上がると、関係ないとばかりに家路につこうとする。
「俺は勉強があるんだ!!」
進学など考えてもいないような三井さえもこの始末だ。
のこりの人たちは、あまり乗り気ではないようだが、
声だすことは、”自分”にとって自殺行為だと悟り、
誰一人として表には出していない様だが。



「くっ・・・まぁいいわ。初めから旨くいくなんて思ってなかったんだから・・・。」




「流川、あんたなんで出たくないのよ?」
まず一番急務なのは、帰ろうとする流川だ。
そう思ったのか、彩子は流川にとりとりいった、
いや”執り憑いた”といった方が正しいだろうか?
「・・・別に」
頑なに断り続ける流川だが、絶妙なあおりについに黙り込んだ。
流石彩子、伊達に中学からのつきあいではない。
「・・・」
流川は彩子の口撃に耐えるスタミナを付けることも必要かもしれない。

次に折れたのは、桜木だった。
「桜木君は文化祭出てくれるよね?」
桜木を春子に任せた彩子は正しかった。
「もちろんです!!天才ですから!!優勝はこの天性の才能を持つこの
文化祭の鬼、”桜木花道”に任せてください!!はっはっはっは」
と、一も二もなく了解したのだった。


「のこるは三井先輩ね・・・。」
ブツブツと彩子は呟く。
そんな彩子の心配をよそに、リョウタが三井にケンカをうっている。
だが、彩子は数分後を見据えてにんまりとほくそえんだのだった。
「別に三井さんは出なくていいスよ」
「なんでだよ?」
出たくは無いが、そういわれるとそう言い返すのは三井の悲しい性だ。
「三井さんがいてもいなくても変わんないし(多分)。それに三井さん
がいると、(俺と彩ちゃんの邪魔・・・とはさすがに言えないけど)・・・。」
「俺は出るぞ。」
「え?でるの?」
「なんだよ?でちゃまずいのかよ?あぁ?」
「・・・別にいいスけど・・・(ちぃ・・・ブツブツ)」
「よし、俺がバスケ部の優勝を勝ち取ってきてやる!!」

「・・・」



―――ポカッ
リョウタは、何か癪に障ったのか三井に蹴りを食らわせる。
「痛ぇーな、このやろぉぉ」三井も負けじと肘打ちをいれる。
と、そこで・・・「そこまでよ!!あんたら!!」
喧嘩両成敗とばかりに、二人をハリセンでポカスカやる彩子。
「勝負ならバスケでやんなさいよ。」そういってボールを渡した。


湘北名物、「みにくい1ON1」だ。
体当たり、暴言etc・・・ああ、折角磨いた床を・・・
そんなこんなで、湘北高校バスケ部は、『文化祭』に参加をすることに決定したのだった。



「クラスで優勝するより、分け前が多いのよね・・・」
なんて彩子が考えていると知ってか知らずか・・・。

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