同人作品(石井いさお 抽)
添ひ寝して添ひ寝せられし目借時 |
神田 敏枝 |
防人の潮待ち岬玉椿 |
中西久美子 |
ひとり分亡夫と分け合ふ福の豆 |
初田 志美 |
春寒や監視カメラが軒の下 |
奥 やゑを |
芝火消え岬端の闇深まれり |
赤松由美子 |
浄土まで映ゆ光芒の大落暉 |
楽満 永子 |
紅梅や焼杉塀の続く道
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足立 陽子 |
風光る土器の櫛描波状文 |
落合 岑子 |
盆梅の一樹の作る小宇宙 |
小林たみ子 |
雪見障子紙一枚の銀世界 |
山下 慶子 |
麦踏や麦の高さに風の這ふ |
舘 千恵子 |
灘一望金毘羅さんに聞く初音 |
瀬川 友子 |
雛巡る背ナの銀嶺屏風なす |
谷口由紀子 |
風吹けば火の付きさうな杉の花 |
和波 伸子 |
茫々と忍野八海八重桜 |
西尾 泰一 |
出羽三山詣でしあとの木の芽和 |
佐野 弓子 |
風の譜となり奥飛騨の吊し雛 |
いりやま勝英 |
香りにも届く距離あり沈丁花 |
伊藤 暢子 |
葦牙や揚舟傾ぐ河川敷 |
水谷 岩夫 |
川幅を風を鳴らして春一番 |
村田 郁夫 |
囀や音符の跳ぬる童謡碑 |
三輪 洋子 |
身を刺すや流氷渡る風青し |
加藤 佳代 |
景ひとつ北窓開けて創りけり |
岩田 芳雄 |
白梅や小間を包める茶筅の音 |
中川キヌヨ |
浄瑠璃寺障子明かりの九体仏 |
武田 巨子 |
おぼろ夜を灰厚く被せ墨寝かす |
藤野 智弘 |
ご神水汲みてどんどの火を鎮む |
尾崎恵美子 |
お松明振る欄干の凹み跡 |
平野 淑子 |
会友作品(石井いさお 選)
台拭きも凍る底冷え里の朝 |
志摩 克江 |
二ン月の花なき仏間燭灯す |
芦田三千代 |
道たづね道を答へてあたたかし |
青木喜美子 |
誌友作品(石井いさお 選)
風に立つラグビー選手の胸厚し |
河瀬 孝子 |
パソコンのひかりの埃春日射す |
吉留 和子 |
涸川の地球の罅を歩きけり |
髙木 満枝
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