ひさこ
令和5年12月


   同人作品(石井いさお 抽)    
     一力の男衆後の更衣
谷添 睦子
     彼岸花畝に群生鍬ふれず 宮本 裕子
     秋夕焼大灘深く染めにけり 木皮 慧子
     灯台の点りて虫の声湧けり 赤松由美子
     ポン菓子機爆ぜて秋天揺るがせり 久松 雅彦
     灯を消して月の供物に影生まる 松葉ツヤ子
     鍬の音消えたる畑に秋時雨
石塚 恵子
     松手入梯子幾度も向きを変へ 小椋千代子
     草刈機石粒飛ばすたび唸る 冨田 まり
     新藁の筵にほへり獅子舞ひて 落合 岑子
     秋寂ぶや堂の扁額右下がり 玉置 伸子
     草虱大好きな子に附いてゆく 石田壽賀子
     秋祭色地下足袋にうごく砂 髙橋はるみ
     汗しとど肩から下す草刈機 西岡せつ子
     傾ける芒を芒が支へをり 小川 明子
     そぞろ寒腕に巻かれるバーコード 服部たけし
     秋天へ大寺支ふ太柱
城  明子
     椿の実殻に膨らむ容のあり 伊藤 泰子
     古代種の小粒蕎麦刈る椎葉村 宮内 昭男
     飛ぶやうに行衣なびかせ逆の蜂 北村みよ子
     後方の耐ふる中腰祭獅子
伊藤 久子
     あやうさのいびつに廻る木の実独楽 渡邊  健
     果て見えぬ田も一台の稲刈機 西松 侑代
     ひぐらしや崋山蟄居の自刃の間 加藤 正子
     天井絵の飛天のくすみ秋思かな 三輪 洋子
     籠を編む竹の弾けて涼新た 石井 洋子
     ぶだう棚採られ重心失へり 大野 利江
     秋彼岸脇侍菩薩も灯されて 榊原 惇子

                       

 
    会友作品(石井いさお 選)

     秋落暉ビルの鉄塔溶かすごと 栗田 宣子
     空と海円弧の交叉秋の海 山路 文隆
     茄子の馬転んでばかり落ち着かず 藤堂加賀子


 

   誌友作品(水野 悦子 選)

     テント出て星座盤繰る星月夜 田中とおる
     赤ゑのぐ百個で足りぬ彼岸花 長谷川晃子
     月草の藍の奏でるセレナーデ 小林 茂樹