令和6年4月
  
   同人作品(石井いさお 抽)    
     左義長や隙間なく組む化粧竹
谷添 睦子
     毛氈をけちらし跳ねる猿回し 奥井 幸代
     寒風に乾ぶ音立つ糸瓜棚 藤岡佐代子
     花水仙角島燈台なだれ咲く 足立 陽子
     硬き蓋あける夫いて年用意 天野 理恵
     本堂に掃除機の音春きざす 久松 雅彦
     遠霞黄色濃く濡れなばな畑 松葉ツヤ子
     ロボットに掃除を任せ三日かな 沖  節代
     一歩づつ麦の命の厚み踏む 水谷 洋子
     風花の気ままに消ゆる高さかな 玉置 伸子
     細切れの時を集めて毛糸編む 小林たみ子
     白息の大きなうねり読経かな 高崎しげる
     大どんど丸太加へて火を煽る 安藤 宏子
      能登の海火柱立つや鰤起し 濵 美和子
     身を寄するビニールハウス寒の月 堀越  毅
     鳰潜る濠の石積反り深し 西脇 朋子
     寂然と宝篋印塔義仲忌 西尾 泰一
     水涸るるあらはになりし太古界 田坂 成子
     残心の眼は的にあり弓始 いりやま勝英
     真つ縦に白川郷の軒氷柱 福田  正
     可不可なく果つる家計簿去年今年
中村 通恵
     揺れるほどさみどりの立つ芽柳は 竹内美知子
     歴代の遺影掲げて寒造 坂野  辰
     帰港して漁師一礼凍てる海 加藤 佳代
     なやらひの寄り目の鬼の気迫かな 武田 巨子
     屋根の雪一枚分の音が落つ 伊藤 孝子
     発心の夫の遍路着丈詰めて 川上なみ子
     身ほてりす梅の紅白くぐり来て 成子 利美
                      

 
   会友作品(石井いさお 選)
     春待ちのおす猫ヒゲの又伸びて
黒崎  馨
     夫の揺り椅子抱かれ座す如冬ぬくし 松見たき子
     夕空を透かして編めり冬木立 
中島 久美

 
   誌友作品(水野 悦子 選)
     パレットに色の生まるる春日かな 東野喜代詞
     藪椿垂るる滴のいろふくみ 中森紀美代
     霜柱踏めりシリアル食むごとく 市川 敦子