令和6年2月
  
   同人作品(石井いさお 抽)    
   紅葉晴水上バスの屋根全開
 谷添 睦子
   文化祭自作のドレスファッションショー  宮本 裕子
   秋雷の落ちて岩咬む海金剛  木皮 慧子
   京一望鹿垣迫る蕪村墓  川上 純一
   コピー機の二度のエラーや神の留守  長澤むつ子
   七五三抜き易きよう躾糸  冨田 まり
   校庭に残る武器庫や秋の声
 水谷 洋子
   枯野行く胸に埋火携へて  石田壽賀子
   トロ箱の悪相の魚冬来る  水野さとし
   廠舎跡兵士らの影枯野かな  舘 千恵子
   枯れきつて脱力の体大豆畑  水野 悦子
   駅ピアノ小入道も弾く文化の日  森川登志子
   冬怒濤凌ぐ奇礁や松低し  佐藤  茂
   むづかしいことはやさしく子と小春  佐野 弓子
   透けるほど切つて千枚かぶら漬
 伊藤 久子
   杖にゆく百歩は千歩日短し  水谷 岩夫
   磯の風呂目線は冬の日本海
 佃   実
   頑丈なドアの下より隙間風  宇佐美ちゑ子
   民話聞く炉辺に匂へる薬草茶  加藤 正子
   香煙をふところにして去年今年  牧  悦子
   方舟の航る日ありや冬銀河
 三原 勝雄
   サハリンの海風晒し棒鱈に  加藤 佳代
   ほの温き竃より温き炭出せり
 平野 淑子
   闇ほぐすかに白朮火を回しゆく  武田 巨子
   ひと沈みして巻き上ぐる冬の波  梅枝あゆみ
   冬ぬくし丸み付けあるベンチの背  伊藤 孝子
   時に阿鼻時に叫喚百舌鳥啼けり  藤野 智弘
   枯山中「音止の滝」で聞く  川上なみ子

 
 
   会友作品(石井いさお 選)

    正造の遺品に聖書葦枯るる  福田美智子
    流木みな満身創痍冬の磯  中村たけみ
    時雨るるや姑楼の湯屋の丸電球  清水 義博


 
   誌友作品(水野 悦子 選)

    角切や白い泡嚙み抗へり  長谷 香苗
    澄んだ目に睨まれ睨み金目鯛買ふ  小野 秀子
    浮かび出る波紋幾重や鳰  伊藤百合子