令和7年2月

同人作品(石井いさお 抽)
自転車の立ち漕ぎの僧師走かな
|
豊田 征子 |
挑み翔ぶはたはたの子に壁高し |
藤岡佐代子 |
日短やここもかしこも未然形 |
青木喜美子 |
摩天楼スパーク飛ばし冬の雷 |
山路 文隆 |
古瀬戸めく神の釉薬柿落葉 |
天野 理江 |
押し込むはおほかた空気落葉籠 |
久松 雅彦 |
刈込みの脚立をたたむ冷たき手 |
松葉ツヤ子 |
十二月八日未だ出る不発弾 |
小林ふみ子 |
ママちゃりの後ろも前も冬帽子 |
冨田 まり |
煙草の火焚火に投げて寺男 |
西山サチ子 |
饒舌と無口の並ぶ日向ぼこ
|
北林 重代 |
鵠来る湖北の田んぼ時雨ぐせ
|
小原 隆 |
幾度も物差しを当て注連を綯ふ |
赤塚 靖子 |
障子貼るLEDと光り合ふ |
和波 伸子 |
山の村朝しぐれまた夕しぐれ
|
加藤 里歩 |
雪吊りの縄の気息や力満つ |
いりやま勝英 |
凍空へ棟梁の打つ銜へ釘 |
三輪 明美 |
冬灯一つが闇を深くする |
佃 実 |
石白く水の流るる十二月 |
村田 郁夫 |
全身の力を音に木の実落つ |
鈴木 智子 |
朝市の林檎の香り宅配す
|
羽多野和子 |
伊勢湾の風を集めて大根干す |
塗矢智惠子 |
風が束ねるさらぼうのすすき原
|
岩田 芳雄
|
斎の座も湯気塗れなる大根焚 |
平野 淑子 |
水中を水で探りて蓮根掘る |
伊藤 孝子 |
螇蚸翔つ力溜めたるうしろ脚 |
藤野 智弘 |
渡り来し鶴百日の一歩かな |
川上なみ子 |
村時雨住職同じ傘に入る |
内田 幸子 |

会友作品(石井いさお 選)
瓦礫積み子の墓作るガザの冬 |
河口 亨 |
小春凪湾をリンクに滑る船 |
𠮷田恵美子 |
冬耕や土をねぎらひ降ろす鍬 |
長谷川晃子
|

誌友作品(水野 悦子 選)
凍りつく大地草木の息づかひ |
林 さちゑ
|
ラグビーの笛の一吹き縺れ解く |
間宮 正文 |
凩を追いかけて行くバイクの灯 |
和田よしのぶ
|
