令和7年10月
同人作品（石井いさお 抽）
| 雲の峰紀伊大嶋に伸し掛かる |
岩本 立彦 |
| うず高く古紙に押し花夏座敷 | 奥井 幸代 |
| 壁打ちの少年に夢夏の空 |
川上 純一 |
| 月下美人スマホに白く匂ひたつ |
矢田喜美子 |
| 蟻地獄乾ききつたる砂の穴 |
竹内 米子 |
| シヴェルニー庭を彩る睡蓮花 | 寺本 勅男 |
| 花火咲くさらに上書き大花火 | 水谷 洋子 |
| 足摺岬のとつ先碧く星涼し | 山下 慶子 |
| 足許を霧の抜き去る八合目 | 谷口由紀子 |
| じりじりと真綿締め来る油照 | 城 明子 |
| 土用波の寄せぬ港となりにけり | 佐藤 茂 |
| 庭の草色素抜かるる炎暑かな | 和波 伸子 |
| 口利けば口も火の海極暑かな | 寺本美和子 |
| 炎天の奥おそろしき劫火燃ゆ | 佐野 弓子 |
| 夏潮の藍のボーダー熊野灘 | 田坂 成子 |
| 合掌の莟は虚心蓮の花 | 福田 正 |
| 手花火の小さき闇を動かしぬ | 村田 郁夫 |
| 羽ばたきて風散らしゆく黒揚羽 | 奥野 順子 |
| 鉦太鼓渦となりたる阿波踊 | 伊藤 久子 |
| ぬれ色の木耳ぞろり湧き出でり | 香山 英子 |
| ビス飛んで機械壊るる炎暑かな |
伊藤 孝子 |
| 梅夜干し山の暮色を軒に引き | 藤野 智弘 |
| 口開けてただ物を食ふ暑さかな | 川上なみ子 |
| 盆の灯の明かりで精進料理かな | 成子 利美 |
| 闇に打つ音の造形石取祭 |
平野 透 |
| 夏安居や水のごとくに僧の起居 | 山口 八重 |
会友作品（石井いさお 選）
| 斉藤比沙子 |
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| 写経する手につく塗香涼新た |
澄 己 |
| やはらかく人をなだむる団扇風 |
石田 昌子 |
誌友作品（水野 悦子 選）
| 長崎忌被爆クスノキ謳ひ継ぐ |
山田 律子 |
| 川面打つ雨は好機や山女魚釣 | 田中とおる |
| 点と線の命の飛翔蛍の夜 | 東野喜代詞 |
