令和7年4月
春泥
 
  吹く風を身巾だけ切り凧揚がる

  下流へと線条痕や涸るる河

  力抜き波と同化の浮寝鳥

  矢を払ふ仕種も武道寒泳ぎ

  守りのなき寺の落葉の掃かれあれ

  髄にまで寒月光の放射線

  大野火のローラー原を均しゆく

  冬ざれや百の蛸壺風ざらし

  烏賊釣火消え日本海無表情

  一村が春泥だらけ蓮田村¥