令和6年8月
「蜷の道」
 
  闇といふ籠に蛍も我も居り

  一生涯風を知らざる水中花

  立ち直る隙を与へず青嵐

  蚊柱とふ芯なき柱ぐらつける

  倒木の木の墓場なす木下闇

  金魚市水に疲れし糶の札

  堂暑し火炎不動を祀る寺

  薫風ややぶさめの札真つ二つ

  火取虫疲れて軌道定まらず

  蜷の道昨日に今日を継ぎ足して