令和7年7月
一重」
 
  清流を影と走れる岩魚かな

  群鱒の黒き曲流養魚池

  打ち返す火の波はなし野を焼ける

  焼き尽くし行き場失ふ野焼の火

  春雷が殴り書きする海の上

  山山の霞みて(かたち)失はず

  ががんぼの張り付く力脚に溜め

  鈴生りといふ明るさや花あしび

  底浅し水と一重や花筏

  命綱縦の連絡舟人海女