この幸せが少しでも、今日は友達が委員会があるっていうから先に帰ることにした。
長い長い階段をやっとのことで降りて、下駄箱に向かっていたら下駄箱に人影を見つけた。
そしてその影が同じクラスの南だということが分かって自分の頬が少し熱くなるのを感じる。
「み、南じゃん。(あぁドキドキしてる…!)」
南はゆっくりと振り向いて私を見て笑った。
「今帰りか?中途半端な時間なのに。」
「うん、最初は友達待ってたんだけどやっぱり先帰ろうと思って。」
ふーん?と言いながら(あまり興味が無さそうだ)靴を履いてる南を私はこっそりと見つめた。
「南はまだ部活?」
「あぁ、でもまぁあとちょっとだけどな。」
南はきっと私と話してるよりも早く部活に行きたいんだ。
話してると分かるけど南は自分や周りの人が思ってるよりもずっとずっとテニスのことが好きだと思う。
だってテニスの話をしてる時、南は輝いてる。本当に楽しそう。
そして私はそのテニスにも嫉妬する。
「じゃあな、
。」
「え?」
「え?ってお前…帰るんじゃないのかよ。」
「あっあー…帰るよ、帰る帰る!」
ほんとうは帰りたくないんです南くん。
ずっと南くんと話してたいんです。 なんて言えない。
「じゃ、」
「…うん。バイバイ。」
南はさっさと部活に行ってしまった。
私は南の広い背中を、見えなくなるまでずっと見ていた。
帰るとき、遠くに見えるテニスコートで南がみんなに向かって何か言っているのを見た。
(多分「あとちょっとで終わるから真面目に練習しろよ!」とかそんなんだろう)
たくさんの部員がいる中で南だけがキラキラと輝いていた。(やばいな、自分…)(キラキラて)
ボーっとその様子を見ていたら南が私の方を向いて何かを叫んでいる。
いや、でも待てよ。どうせアレだ。
ライブとかで「キャー今私のこと見てた!」「違うよ、私と目が合ってたの!」とか言う原理と一緒だろ。
きっとこれも私の勘違い。勘違い。かんちが…
「気をつけて帰れよー!
ー!」
か ん ち が い ?
私は冷めた頬がまた熱くなるのを感じた。
そして小さく手を振って、歩き出した。
たったこれだけで嬉しい。
南の何気ない一言が嬉しい。(本当に南にとってはどうでもいいことなんだろうけど)
「南もテニスがんばれ。」
テニスに嫉妬したり、南の一言で嫉妬心が無くなったり。
そんな単純な私だけど、神様!この世で南と巡り合わせてくれてありがとう!
(なんちゃって!)
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