この恋心が伝わったとき




「えー! ってば三井先輩が好きだったの!?」
「ば、ばっか!声がおっきいっつうの!」
「いや・・・えー!? って優しそうな人が好きじゃなかったっけ・・・?」
「そうなんだけども・・・」
「三井先輩と何かあったの?」
「・・・・・別に、特になにも」
「じゃ、じゃあ何でよ!?」
「うっせーなもう!恋するのに理由なんていらねぇよ!(チクショウ!)」
「・・・(何だよそのセリフ)」






それが1週間前。






そして今日、なぜか私は崖っぷちに立たされた気分にならなくてはならなかった。






「あのさ、 っている?」





なんと三井先輩が私の教室に来たのだ。
私を指名で。




「は?え・・・や、え?わ、私ですか!?」




教室にいる人達がみんな私を見ている。
その時私は隣にいる友達の顔を見てなんだか嫌な予感がした。



「お前? って」
「は、はい。え・・・何ですか?」
「何ですかってお前・・・。これお前だろ?」



そう言って三井先輩がポケットから出したものは手紙だった。



              大事な話があるので昼休みに1年5組に来てください。



・・・・・・。
ありえねー!!!!


こ、こんなん今時ありかよ!
ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!
あほかっつうの!


「えっとぉー・・・・・(どうしよう!)」
「話って何?」
「は、話ですか?」



困った。
私の手からは汗が出てきている。
緊張のあまり足も震えてきた。
三井先輩の顔を見ることができない。

そんな私を見かねてか、友達がとんでもないことを言い出した。



「あー・・・じゃぁ二人で屋上でも行ったらどうですか?」


決まり、決まりと言われながら私と三井先輩は教室から追い出された。

教室の中が急に騒がしくなる。
って三井先輩と付き合ってんの!?」「えーうっそぉ!」

(全部丸聞こえで死にたい気分だった)




屋上に向かってるのかと思いきや三井先輩は私を人気のない廊下に連れて行った。

「屋上はアレだろ。人いるかもしんねぇじゃん」

「あ、はい・・・」



桜木くんたちがいるのかな、と思ったけど私は何も言わない事にした。





「で・・・大事な話って何?」

「え」


忘れてた。


「その・・・あ、あれは友達が勝手に・・・」

「友達が?」

「は、はい・・・」

「・・・・・」

「・・・・・ごめんなさい・・・」


この時の私の顔は見てられないぐらい醜かったと思う。
真っ赤だし変な汗はかいてるし。


「・・・まぁいいけど。何もないんなら俺もう行くから」









三井先輩はそう言って向きを変えて歩き出した。

もしかしたら、今私は三井先輩に言わなきゃいけない事があるんじゃないのか。

今を逃したらチャンスはもう無いかもしれない。






そう思ったら叫ばずにはいられなかった。






「三井先輩っ!」



三井先輩が振り向くのが見える。



「好きですっ・・・!!」



緊張のしすぎか私のまわりから全ての音が消えた。
目が開けられない。


けど、三井先輩がこっちに歩いてきているのを感じる。

私の前で止まるのも。




そしてその瞬間私の唇になにか当たった。

それが何なのか一瞬分からなかったけど、目を開けたら三井先輩の顔があって
それが三井先輩の唇だと分かった。




「三井せんぱ・・・・」
「・・・何だよ」
「え、や、今の・・・」
「・・・・・」




誰もいない廊下がさらに静かになった気がした。





三井先輩は何も言わず、私の手をとって歩き始めた。


意味が分からない。




「どこ行くんですか・・・!?(ヒエー怖いよぉお母さん!)」
「別にどこも。決めてねぇよ(・・・)」
「は・・・?(怖い・・・!)」




「俺も のこと好きだから」


「え・・・!?」


「前バスケ部見に来てただろ?」


「・・・はい」


「赤木の妹と話してたじゃん」


「(晴子のことか・・・)はぁ、まあ」


「そん時にお前のこと好きになった」




そう言った時の三井先輩の顔は少し赤くなっていた気がしたけど、
何も言わなかった。
私の顔も赤くなってたと思うから。




「・・・まぁそういうことだよ」





教室に帰ったらみんなに色々聞かれそうな気がして少し嫌な気分になったけど、
今隣で歩いてるのが三井先輩なんだと思ったら、
そんな事どうでも良くなった。






おわり


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