この世に2人だけになればいい、そう思う。
僕だけを見つめて
「ねぇ寿、アヤコの胸・・・どう思う?」
部活の休憩中
がいきなりこんな事を聞いてきた。
しかも「どう思うのよ」と迫ってきている(怖い)。
「やっぱりデカい方がいい?」
「デカ・・・!あぁ・・・ま、そう・・だな。ないよりはいいんじゃね?」
「そう・・・。」
そう言って
がチラっと見たのは仲良く(?)話してる宮城とアヤコだった。
あぁそういうこと。
「まぁさ、
に胸があってもだな宮城は
の事好きになんねーよ。」
俺は笑いながらそう言った。
冗談で言ったつもりだった。
つーか冗談で言ったんだ。だけど
は。
「何でそう言う事言うの?」
「は、」
「分かってるよ、そんな事。」
は下を向いて髪の毛をいじっていた。
下を向いているため顔が見えない。
・・・泣いてるんだろうか。
「・・・・・悪ィ・・・。」
「・・・別に。」
向こうで宮城とアヤコの声がする。
つっても一方的に宮城が話してるだけだけど。
「よーし、休憩終わりだー。」
赤木の声。
宮城とアヤコの声。
桜木の声。
その他大勢の声。
・・・今はみんなうるさい。ウゼぇ。
を見ると
はまだ下を向いていた。
泣いてはいないようだ(良かった)。
この無言の空気に耐えられなくなって俺は立ち上がった。
いや逃げるんじゃない、休憩が終わったからだ!と言い聞かせつつ。
「寿・・・。」
まわりがザワザワしてうるさいのに
の声だけハッキリと聞こえた。
「この世にさ、私と宮城の2人だけになったら宮城は私のこと好きになってくれると思う?」
そんな事俺に聞いてどうすんだ。
そんな事わかんねーよ。
そんな事知るかよ。
そんな事・・・・。
考えたくもねーよ。
なのに、
「・・・あぁ、好きになんじゃねーの。」
そう言ってしまう俺は一体なんなのか。弱いヤツだ。
それから小さい声で「そうなればいいのに」と聞こえ、
は俺の横をスっと通り過ぎアヤコの所に行ってしまった。
じゃあ君はこの世で俺と2人きりになったら俺の事好きになってくれるんですか。
アダムとイヴみたいに俺と恋に落ちてくれるんですか。
横目で宮城に「ガンバレ!」と言っている
を見ながらそう思った。
おわり
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