卒業
今日は公立高校の卒業式の日だ。
そして、私 の気持ちを、憧れの赤木剛憲先輩に伝える日。
「おはよ、
さん」
「ア、おはようございますー。小暮君」
「とうとう俺たち…あいつも、卒業だな。で、・・・告白するの?」
「・・・うん。」
小暮君は赤木さんと仲がいい。
中学校も同じだったみたいだし・・・だから、赤木さんの事ついてあたしはよく相談してた。
・・・それに小暮君は口も堅いし。
今日、告白することも、そして、そのために協力してもらうことも、全部話した。
「思い出すなあ、1年の頃の
さんてさ・・・」
「・・・ストップ!!それ以上は言わないで〜〜〜〜」
あたしは1年の頃、赤木さんの机にこっそりプレゼントを忍ばせたり、
(しかもバナナ…)バスケ部の部室に潜り込んだりしたんだ。
「この日の為に、あれ以来ずっとしたたかに生きてきたのよ!!」
そう気合をいれながら、ヤル気満々で教室に足を速めるあたしに、
後方に離れていく小暮君の呟きが聴こえた。
「(クスクス)〜〜〜〜空回りしなきゃいいけど・・・ねえ・・・。」
空回り?今の私に限ってそれはないわよ!小暮君。
卒業式はあっという間に終わった。
しいていえば、寝ていた…。しまった…。まあいい。
教室に戻ってカバンを取ってきてから、
小暮君に頼んで待機してもらっている赤木先輩のところに向かう。
昇降口や、体育館の周りでは、人がごったがえしていた。
私は人を掻き分けて、まっしぐらに体育館裏に向かう。
そして赤木さんに、自分の気持ちを伝えるだけだ。
あたしは体育館に足を速めた。
体育館からボールの弾む音が聴こえてくる。
(?え、…もしかして…。)
ギ - ギギ−-
扉を開けると、そこにはボールを、床を、ゴールのボードを、眺める赤木さんがいた。
椅子のない、後ろのほうで…。
(赤木先輩らしいや)
そして、すこし寂しそうで、それが何だかあたしを高揚させる
小暮さんちゃんとやってくれたんだ、体育館裏ってのは…う
〜ん?許してやるか。
そんなことを考えながらあたしは口を開いた。
「・・・ア、赤木せんぱい!!」
「・・・
か?」
チラっと横目であたしをみて、赤木さんは呟いた。
自分の顔に触れた、熱い・・・
唇を舐めながらあたしはこの3年間ずっと思ってきた言葉を口にした。
「あ、あたし―――ッ ずっと、、ずっと赤木さんの事が、スきだったんです!!
今日で卒業だから・・・、だから、それだけ伝えたくて・・・」
「!!」
そういうと、あたしは体育館から一目散に駆け出した
(やった、言えた!言えたんだ!!)
ずっとずっと胸につっかえてた想い。
ずっとずっと伝えたかった想い。
ずっとずっと受け止めて欲しかった想いが…やっと・・・やっと言えたんだ!!
「・・・――あ、お・・・ちょい!!
・・・・・・・・・ふう、まったく」
(…
か…。)
「よお、赤木、ちゃんと返事してあげたか?」
「・・・小暮!!・・・もしかして、おまえもグルだったのか?」
「ははは。まあな、で、ちゃんと返事してあげたのか?
あのこ、1年の頃からずっと赤木が好きだったらしいぞ。かわいい子じゃないか・・・」
「・・・返事しようにも・・・言うだけ言ってさっさと体育館でてったぞ?」
「・・・・・・・・(さすが
さん、空回りしている、いや、それ以上だ)」
「あいつらしいけどな。・・・嫌いじゃない」
「・・・・・・ぉ・・お!!よし、じゃあ追いかけるんだ、赤木!!」
「―ッ、ば、バカめ、誰が追いかけるかあんなもん!!」
「・・・顔赤くなってるぞ・・・・・・」
「・・・フン」
おしまい。
Created by
DreamEditor