はねつるべ


           


  昔、まだポンプが無い時代には旱天続きで田の水が不足してくると、はねつるべが使われた。 それは三本足の丸太に一本の棒を上部にくくりつけ、後ろに石の重りをつけ、その先に竹竿を下げ、桶によってドブより水をくみ上げる方法である。
  一反歩について四時間から六時間かかるが、一人前の百姓なら一時間で所定の水をくみ上げる。 渇水期になると、はねつるべも時間制がとられ、どこの田を先に水を入れるかが決められた。 ドブの水はすぐ湧くとは限らない。 長い時間待っていないと桶ですくうことができない場合もあり、時間で区切ると困る場合もあった。 昼間はどうしても水の出が少なく、夜中はこんこんと湧く。 水面が高いほどくみ上げるのは楽である。