まちかど博物館(立田ふるさと館ほつま)


         


  造園家三羽守夫氏は長年に渡って古物を収集された。 今篠立の六蔵の辻を近くにする一角に、自宅小屋並びに離れ座敷を開放して、明治、大正、昭和の初期の物がずっと並んでいる。 その種類はかぎりないが、人々の目を懐しがらせてくれる。 珍しい物ばかりであり時代カラーがありありと吸収できる。 そこには懐かしい祖父母の姿があり、 父母の生きざまが深く胸処をえぐる。 たとえば電話機の移り変わりにしても、衣類を生み出す道具にしても、食器から日用品まで所狭く並べられている。 昔の農具から農民の苦労がうかがわれ、雪国で堪えてきた人々の難儀、貧しかった日用品の手作り、また竿秤が取引の何よりの道具であったことも、ラジオや時計の形、嫁入り道具の親の精一杯の思いなど痛切に身にしみる。 茶壷の大きいのや、保存食の工夫のための道具、外には古井戸が残っている。 井戸にかけた滑車、水かえ桶、水鉄砲という水かけ器等、水に対する当地の人達の苦労もまざまざとしのばれる。
  とにかく、昔は人間か動かないと生きていけなかった。 そのための道具を自分たちで生み出してきた。 自給自足の生活のえらさと工夫を、この資料館は目をもって教えてくれる。 心ある人が後世に言い伝えようとする真心がこのまちかど博物館にはある。