令和4年8月

「浮灯台」
 
  夏怒濤放り出さるる浮灯台

  入梅や雨の後ろを更に雨

  薪能黒衣(くろご)は影になりきつて

  青芦の壁をくぐりて艫櫂舟

  巣の奥は声のジャングル行行子

  張り切らぬ蚊帳のたるみを楽しめり

  蚊帳に寝る闇を四角く包み込み

  かぶせ茶のやはき熟成刈りにけり

  鮎簗や足下に水の荒き息

  経唱へつつ殺生や虫送り