令和5年8月
「真円」
 
  ふらここや母も心で漕いでをり

  魞挿しの舟をはみ出す竹の丈

  飛び込みの縦の力を底に引く

  胎内の形に寝まるハンモック

  蚕室に山積みの繭白光す

  外れたる草矢野原の草となる

  替へらるる水に目高の横倒れ

  積乱雲蒸気の圧の沸騰す

  お花畑山の女神の庭広し

  真円に開く投網や鮎を捕る