令和5年7月
「波音」
溢れくる大玻璃越しの春の濤
漁師の子潮知り尽くす磯遊
波音を遠くに捨てて汐干狩
島椿不毛の火山灰に根付き咲く
初蝶の風を頼まぬ飛翔かな
中空に落花とどむる堰のなし
塗り畦を均せる熨斗や日の光
陽炎を揺らせて牧の牛移動
飛び交へる燕に広き空の隙
鳴く声に山彦返す帰る雁