令和6年2月
「波の捨て場」
 
  糸が糸引き立て合へる機始

  年輪の渦の凝縮冬木かな

  波音が太鼓の囃子神迎

  モンゴルや身の吸はれゆく大銀河

  河口堰過ぎて(はや)れる冬の水

  汐合の水の豊かさ鰡飛べり

  火の帯の電車が走る夜の枯野

  漉く音に同じ音なし紙漉女

  火の龍となり寒雷の駆け下る

  ざわざわと波の捨て場の冬港