令和5年11月

「崩れ簗」
 
  灯台へ烏賊の襖を潜りゆく

  魂迎へ仏壇常の壇ならず

  竿灯会傾く方へ腰運ぶ

  神の田の御稲刈られて幣残る

  直射光片陰のなき火口丘

  地芝居や暴れ大蛇が莚蹴る

  行き倒れの馬の墓ある花野かな

  水鉄砲撃たれて水の雫垂る

  虫鳴くや遠くは棒の如き声

  芯の杭抜けて一気に崩れ簗