オテロ / Otello

この作品について

原作:シェイクスピアの戯曲 『オセロ』
台本:アリーゴ・ボーイト
初演:1887年2月5日 ミラノ・スカラ座

 ヴェルディが最後にたどり着いた、悲劇としてのオペラの頂点に君臨する大傑作。
 心に染み入る独唱や重唱、劇的なアンサンブル、荒れ狂う合唱と管弦楽など、円熟の手腕を駆使し、直情的で素朴なアフリカ人武将の悲劇をくっきりと描く。
 シェイクスピアの戯曲に拠った歌劇は数多いが、原作よりもオペラの方が成功していると文句無しに断言できる作品。
 デル・モナコとティト・ゴッビのコンビが本当におすすめ。これは絶対に見るべき。

登場人物

あらすじ

第一幕
 嵐のキプロス港、人々はヴェネツィア軍艦の帰還を待っている。敵は海中に沈んだ、と勝利を宣言しながら、司令官オテロが上陸。人々が勝利の杯を交わしている中、オテロに悪意を抱くヤーゴは、副官カッシオ(オテロとデズデモナの友人)に祝席で失態を演じさせる。オテロはヤーゴの思惑通り、即座に副官を罷免、騒ぎに起きてきた愛妻デズデモナと二重唱「もう夜もふけた」で愛を確認する。

第二幕
 罷免されたカッシオに、デズデモナにとりなしてもらえばいい、と入れ知恵するヤーゴは、無慈悲な神を信ずるで屈折した心情を吐露。オテロに、カッシオと妻デズデモナへの疑いを抱かせる。妻がカッシオの許しを請うとオテロは嫉妬に燃え、さらにヤーゴの「デズデモナのハンカチをカッシオが持っていた」という言葉を信じ、ヤーゴとの二重唱で復讐を誓う。

第三幕
 本国からの使節を待つ間、デズデモナはまたカッシオの許しを願うが、オテロは冷淡。使節が持って来た命は、オテロを本国に召還し、カッシオを後任に据えるというもの。オテロは激怒し、人々の面前で妻を罵倒する。

第四幕
 その晩、デズデモナが愛に死んだ娘を柳の歌に託し、アヴェ・マリアを歌い就寝。そこへオテロが現われ、妻を絞め殺す。そこへ現われた召使の証言から、すべてはヤーゴの策略と知り、オテロは妻の死骸を抱いて自害する。