この作品について
原作:旧約聖書
台本:テミストクレ・ソレーラ
初演:1842年3月9日 ミラノ・スカラ座
生涯に26曲のオペラを書いたヴェルディの第3作。このオペラの大成功で彼は失意のどん底から立ち直った。
バビロニア王・ナブッコのエルサレム侵略(史実=バビロンの捕囚)を描きながら、ナブッコのふたりの娘の愛憎物語、エルサレム王の甥のイズマエーレへの愛が劇的に絡む。当時オーストリア支配下にあったイタリアで熱狂的に支持され、捕われのユダヤ人が祖国への思いを歌う合唱:行け我が想いよ、金色の翼に乗っては、イタリアの第二の国歌と言われるほど愛され、ヴェルディの国葬の時には、何千人という人々が大合唱したという。
登場人物
- ナブッコ/バリトン
バビロニア王。聖書には「ネブカデネザル」と書かれている。 - アビガイッレ/ソプラノ
ナブッコが奴隷に産ませた娘。 - ザッカーリア/バス
ヘブライの大祭司。 - イズマエーレ/テノール
ヘブライ(ユダヤ)王の甥。 - フェネーナ/ソプラノまたはメゾソプラノ
ナブッコの娘で、アビガイッレの妹。 - ベルの大司教/バス
あらすじ
第一幕
エルサレム、ソロモンの神殿。ヘブライ人はバビロニア軍の侵略におびえている。大祭司ザッカーリアは、人質として捕えられているバビロニア王ナブッコの娘フェネーナが平和をもたらすだろうと語る。ヘブライ王の甥イズマエーレがフェネーナを逃がそうとした時、フェネーナの姉アビガイッレが姿を現わした。彼女もイズマエーレを愛している。ナブッコが乗り入れてヘブライの神を侮辱。怒ったザッカーリアは人質フェネーナに短剣を突きつけるが、彼女を愛するイズマエーレに阻まれてしまう。
第二幕
アビガイッレは自分が奴隷の子であること、父が王位を妹のフェネーナに継がせようとしていることを知って怒りに燃える(かつて私の心も喜びに)。アビガイッレがフェネーナから王冠を奪おうとした時、突然ナブッコが現われ、私は王ではなく神だと叫ぶ。雷が王冠を直撃し、アビガイッレはそれを手にする。エルサレム焼き討ちを命じるナブッコ。
第三幕
王位に着いたアビガイッレは、ヘブライ教に改宗したフェネーナとユダヤ人を処刑しようとしている。ナブッコはフェネーナの助命を乞うが、アビガイッレに幽閉されてしまう。捕われのユダヤ人は祖国への憧れを行け我が想いよ、金色の翼に乗ってで歌う。
第四幕
ヘブライの神に許しを求めるナブッコ(ユダヤの神よ)。ユダヤ人処刑の直前、彼は祭壇の偶像の破壊を命じた。奇蹟に驚く人々。ナブッコはユダヤ人の帰還を許可した。そこへ深い傷を負ったアビガイッレが現われ、父と妹に許しを求め、息絶える。ザッカーリアはナブッコを王の中の王と称える。