この作品について
原作:童話『サンドリオン』
台本:ヤコポ・フェレッティ
初演:1817年1月25日 ローマ・ヴァッレ劇場
ヨーロッパに伝わる「シンデレラ」(『チェネレントラ』はイタリア語読み)の童話をオペラ化したものだが、ペローの「シンデレラ」でおなじみのかぼちゃの馬車やガラスの靴は出てこない。ガラスの靴の代わりにオペラで使われるのは腕輪。
童話の幻想的な要素は除かれて、人間を描く喜劇としての側面が強調されている。『セヴィリヤの理髪師』や『アルジェのイタリア女』と並ぶロッシーニの人気オペラ。
ちなみに、「チェネレントラ」のアクセントは、「レ」にあります。「チェネレントーラ」ではないのでご注意!
登場人物
- チェネレントラ(本名:アンジェリーナ)/メゾソプラノ(又はソプラノ)
ドン・マニフィコの末娘。灰かぶりと呼ばれ、義姉たちにいじめられているが、その素直さと優しさで王子に見初められ、最後は王女の座を獲得する(王女になった瞬間に姉たちを見下ろすような態度も見受けられるが…)。 - クロリンダ/ソプラノ
ドン・マニフィコの長女。いじめ役その1。 - ティーズベ/メゾソプラノ
ドン・マニフィコの次女。いじめ役その2。 - ドン・マニフィコ/バス
落ちぶれた男爵。落ちぶれた家を建て直そうとしているが、いまいち無計画で他力本願な人。あ、だから落ちぶれたのか。納得。名前はマニフィコ(最上の、とかいう意味)なのに。 - ドン・ラミーロ/テノール
サレルノの王子。サレルノで何をされるの?…あ、すみません(;´Д`)しかし、なんで王子様ってテノールが多いんでしょうね。不思議。 - ダンディーニ/バリトン
ドン・ラミーロの従者。チェネレントラの本当の優しさを見抜く。こういう良い家臣がいてこそ、上の人間は成り立っているのです。(力説)
あらすじ
第一幕
ドン・マニフィコ男爵の三人娘の末娘チェネレントラは、男爵の死んだ後妻の連れ子であるために、二人の姉にいじめられ、父親にもないがしろにされ、下女のように扱われている。姉たちがおしゃれを楽しむ一方で、チェネレントラは家事にいそしむ。
男爵が現われ、アリア「わが娘たちよ」を歌う。二人の実の娘は王宮での舞踏会に行くことを父親に告げる。男爵は娘のどちらかが王子の花嫁になれば、傾いた家が救われると皮算用する。皆が去ったあと、従者に変装した王子ドン・ラミーロが現われ、チェネレントラと出会い、二人は何かを感じる。やがて王子の格好をした従者のダンディーニがやって来ると、姉たちは気を引こうと偽の王子に近づく。
そして王宮での舞踏会。見知らぬ美しい娘が登場する。ヴェールを取るとチェネレントラそっくり。一同は大混乱に陥る。
第二幕
その後、ドン・ラミーロは美しい娘に結婚を申し込む。すると彼女は腕輪を差し出し、「これと同じ腕輪をしている私を探し出してください。そのときに私のことが嫌でなければ、私はあなたのものになります。」と言って去る。王子はアリア「きっと探し出してみせる」を歌う。
男爵の家に戻ったみすぼらしい普段着のチェネレントラ。突然の嵐。外で馬車が転倒している。王子と従者が助けを求めに家に入ってくる。そこで王子は腕輪をしているチェネレントラを見つける。混乱の六重唱。王子は彼女を王宮へ連れて行く。そして王宮で、チェネレントラはアリア悲しみと涙に生まれ育ち:Nacqui all'affannoを歌い、父と姉たちを許し、皆の祝福を受けて結ばれる。