この作品について
原作:アベ・プレヴォの小説 『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』
台本:L・レオンカヴァッロ、M・プラーガ、D・オリーヴァ、L・イッリカ、G・ジャコーザ
初演:1893年2月1日 トリノ王立歌劇場
プッチーニの出世作。彼にとっては3作目のオペラ。18世紀後半、邪気のない破滅型享楽的美女マノン・レスコーと、一途な騎士デ・グリューの繰り広げる恋愛ドラマは、フランスのアミアン、パリ、ル・アーヴル港、そして、アメリカのニューオリンズの荒野へと展開していく。プレヴォの人気小説をオペラ化したものである。
登場人物
- マノン・レスコー/ソプラノ
18歳(若っ!)の美女。道楽者の兄がいる。デ・グリューを愛しているが、お金持ちの男の誘惑にも逆らえない。自由に生きる女。 - デ・グリュー/テノール
勉学に明け暮れ、女に興味もなかったまじめな学生だが、マノンを見た瞬間から彼女の虜になってしまった。
あらすじ
第一幕
旅籠屋の前の広場で若者たちが集まり騒いでいる。そこに近衛軍曹レスコーとその妹マノン、そして、大蔵大臣ジェロントを乗せた馬車が到着する。マノンが1人になった隙を見て、騎士デ・グリューが近づき、夜の再会を約束する。彼はアリア「見たこともない美人」を歌う。ジェロントはマノンを連れ去るために馬車を用意するが、その計画を知ったデ・グリューは、約束通りやって来たマノンを口説いて、ジェロントの用意した馬車を使って逃げ去る。
第二幕
しかし、時はたち、マノンはパリでジェロントの愛人となっている。マノンは贅沢でも愛のない生活がつまらない、とアリアこの柔らかいレースに包まれて:In quelle trine morbideでデ・グリューとの、貧しくても幸せだった日々を思い出す。そこへデ・グリューが突然現われる。怒るデ・グリューにすがりつくマノン。結局、ふたりは抱擁する。そこにジェロントが現われる。浮気の現場を見られたマノンはかえって居直り、怒ったジェロントは立ち去る。デ・グリューはマノンを連れてその場からすぐに逃げようとするが、マノンは出来る限りの宝石類を持ち出そうと必死。デ・グリューがアリアああ、マノン、君の愚かさが:Ah!Manon,mi tradisceで説得するが時既に遅く、ジェロントともに憲兵が到着し、マノンは姦通の罪で捕えられる。
第三幕
マノンはアメリカに追放されることになり、港の獄舎の中にいる。売春婦たちが呼び出され、船に移されていく。デ・グリューは船長にアリアご覧下さい、狂った僕を:Guardate,pazzo sonを歌い、マノンとともにこの船に乗せてくれと哀願する。船長は彼の乗船を許可する。
第四幕
アメリカでも問題を起こしたふたりは荒野をさまよう。マノンは疲れ切ってもう動けない。デ・グリューは、マノンを残して人家を探しに行く。マノンは自らの死を予感し、恐怖におののいてアリア一人捨てられて:Sola,perduta,abbandonataを歌う。デ・グリューが何も見つけられずに戻って来る。ふたりは最後の抱擁をし、マノンはついに息絶える。マノンの屍に慟哭するデ・グリュー。