つばめ / La Rondine

この作品について

原作:
台本:ジュゼッペ・アダミ、A.M.ミルナー、H.ライヒャルト
初演:1917年3月27日 モンテ・カルロ テアトロ・ドゥ・カジノ

 時代設定や話の内容は、椿姫ラ・ボエームとよく似ている。ブリエの店に「グリゼット」と呼ばれた若い娘がお金と歓楽を求めて集まるのは、第2帝政時代から世紀末にかけてのパリの時代風俗だった。この話しを「金の切れ目が縁の切れ目」と取るか、「恋愛と結婚は必ずしも一致しない」と取るかで聞き方や解釈が違ってきそうである。

登場人物

あらすじ

第一幕
 金持ちのランバルドに囲われているマグダの家に、大勢の友人が集まっている。詩人のプルニエが恋愛を賛美すると、女たちが彼をからかう。詩人が自作の愛の歌を歌うと、マグダがアリアドレッタの夢の歌:Sogno di Dorettaを続けて歌う。男たちも寄って来て彼女の歌をほめる。ランバルドは、自分の情熱の悪魔は眠っているから、と代わりにマグダに首飾りをプレゼントする。召使いのリゼットがランバルドに来客を告げる。マグダが昔、ブリエというダンスホールで出会った青年との淡い恋の思い出を女たちに話していると、詩人が彼女の手相を見、「運命があなたを夢の国へ導く。つばめのように恋に向かい、そしてまた元へ戻る」と告げる。ランバルドは友人の息子ルッジェロを迎え、彼をどこへ案内するか、皆に尋ねる。若者への好奇心で集まってきた女たちは、ブリエの店を薦める。一同は、マグダに別れを告げ、ぞくぞくと退出して行く。リゼットがそっとプルニエと現われ、女主人の衣装をまとって出かけると、入れ違いにマグダが、流行の少女の扮装で楽しげに出て行く。

第二幕
 ブリエのダンスホール。学生や芸術家や少女たちといった様々な階層の客でびっしりの店内に、ひとり場違いなルッジェロは、歓楽を求める少女たちに囲まれる。そこへマグダが現われ、ルッジェロの席へ。一目で彼女に魅せられるルッジェロ。昔の恋を思い出しているマグダとの2重唱が歌われ、2人は踊る。ルッジェロはマグダと恋に落ち、口づけしているところへリゼットとプルニエがやって来る。プルニエはマグダに気づくが、リゼットには別人だ、と言う。4人で乾杯し、愛の4重唱と群衆の祝福の合唱。そこへランバルドが来る。一同は慌てて去るが、マグダはその場に残り、ランバルドに別れを告げる。驚きつつも礼儀正しく立ち去るランバルド。夜が明け、マグダは迎えに来たルッジェロと抱擁を交わし、2人で去って行く。

第三幕
 地中海に近い小さな家で、人目を避けて暮らす2人。お金に困ったルッジェロが、両親に結婚の承諾を求めたと言う。困惑するマグダ。プルニエに伴われたリゼットが現われ、再びマグダに仕えたいと言う。プルニエはパリでランバルドが待っていると伝言する。母からの結婚許可の手紙を持って来たルッジェロに、涙で別れを告げるマグダ。絶望するルッジェロを残し、彼女は去る。