この作品について
原作:ディディエ・ゴールド 戯曲『外套』
台本:ジュゼッペ・アダミ
初演:1918年12月14日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
一幕もの(一時間に満たない)のオペラを三つまとめた「3部作」(プッチーニが完成させた最後のオペラにあたる)の一本目の作品。
パリのセーヌ川に浮かぶ伝馬船の中での若い妻の浮気と、それを見つけた夫が引き起こす悲劇。外套は夫の殺人を隠し、妻の浮気を覆う。
登場人物
- ミケーレ/バリトン
伝馬船の船長。 - ジョルジェッタ/ソプラノ
ミケーレの妻。 - ルイージ/テノール
荷役労働者。ジョルジェッタの浮気相手。
あらすじ
セーヌ川に浮かぶ伝馬船の船長ミケーレには自分の年齢の半分にしかならない25歳の妻ジョルジェッタがいる。船の上で妻は仕事を終えた荷役の労働者たちに酒をふるまっている。陽気な踊りが始まり、ジョルジェッタは若いルイージと踊り始める。ミケーレが近づいてくるので、二人は離れるが、ミケーレの機嫌は悪い。
長老格の労働者の妻フルゴーラが世間話をし、ジョルジェッタは水上の生活を捨てて陸で暮らしたいと言う。そしてジョルジェッタは、ルイージとマッチの火を合図とする今夜の逢引の約束をし、二人の二重唱となる。
ルイージが去り、一人たたずむジョルジェッタ。そこにミケーレが現われ口づけをしようとするが、妻はそれを拒み、船室へ。ミケーレは妻に男がいると感じる。彼はアリア「何もない、静かだ」を歌い、パイプに火をつけるためにマッチを擦る。するとそれを合図と間違えたルイージが現われる。ミケーレは彼を捕まえ、ジョルジェッタとの関係を白状させ、ついには絞め殺す。そして死体を自分の外套で包む。ジョルジェッタが甲板に現われると、ミケーレは外套をはぎとり、ジョルジェッタの顔を死体の顔に押し付ける。