カヴァレリア・ルスティカーナ / Cavalleria Rusticana

この作品について

原作:ジョヴァンニ・ヴェルガ『カヴァレリア・ルスティカーナ』
台本:タルジョーニ=トッツェッティ、グィード・メナーシ
初演:1890年5月17日 ローマ・コスタンツィ劇場

 「カヴァレリア・ルスティカーナ」とは、「田舎の騎士道」という意味。上演時間が短いため、「道化師」といっしょに上演されることが多い。ヴェリズモオペラは、実際の時間間隔と同じ進行、つまりリアルタイムで劇が進行していくので、それだけドラマ性が非常に克明に現われるジャンルでもある。



登場人物

あらすじ

夜も明けきらぬ 早朝
寂しい村はずれの道を 若い一人の男が行く
彼の名は トゥリッドゥ
ついさっき 今は人妻となった昔の恋人と
愛を交わしたばかり

熱情の冷めない身体で 彼は歌う
茨の花のように白きローラよ、と。

意気揚々と道を行く彼を影から見ているのは
彼に裏切られた サントゥッツァ
彼女は トゥリッドゥの浮気を 確信した

朝が来る
町が動き出す
今日は復活祭

しかし 晴れぬ心のサントゥッツァは
トゥリッドゥの母
酒屋を営むルチアに会いに行く

「トゥリッドゥはどこにいるかしら?母さん」
当たり前のように 答えが返って来る

「あの子は お酒を買いに フランコフォンテへ」

母も知らぬ 息子の不品行
サントゥッツァは 思わず 叫ぶ
いいえ、トゥリッドゥはフランコフォンテへなど 行っていない

母の顔色が変わる
サントゥッツァから詳しく聞こうとした その時
軽快なひづめの音と鞭の音が 街路に響く

ローラの夫 馬車屋のアルフィオは歌う
「至る所を 馬車屋は走る
家には貞淑な妻、ローラが待っているからさ」

その歌声は サントゥッツァの耳にも届く
彼女の心は叫ぶ
決してローラは そのような妻ではない、と。

酒屋にアルフィオが入って来る
「今朝早く、トゥリッドゥを俺の家の近くで見かけたぜ」
という言葉と共に
サントゥッツァは驚く母を制止する

教会の鐘の音が響く
人々が行列とともに主の復活を祝おうと路地に出る

出てゆくアルフィオと母ルチア
後には 傷心のサントゥッツァがひとり 残る

外の道を 人々の行列が通る
折りしも今日は
聖母マリアの 被昇天祭
「主は死なれたのではなく 天に昇られたのです
讃えましょう、主の復活を」

人々の賛美の声と
サントゥッツァの苦しみの祈りの声が 重なる

母が戻って来る
「さっきはなぜ 止めたんだい」

ママも知るとおり:Voi lo sapete o mamma

サントゥッツァはトゥリッドゥの不実を訴える
母は 息子のしでかしたことの許しを請うため 教会へ出かける
入れ違いにトゥリッドゥが帰って来る

ローラとの浮気を問い詰めるサントゥッツァに トゥリッドゥは激怒する
「俺はおまえの嫉妬の奴隷じゃない」
そこへ ローラが教会のミサに行くために通りかかる

「ミサは 罪のない人が行くところよ」

サントゥッツァの言葉に ローラは臆面もなく答える

「私には罪がないから 教会へ行って主に感謝してくるわ」

その瞬間 サントゥッツァの怒りは頂点に達する
教会へと向かうローラ
その後を追って行くトゥリッドゥ
すべては 二度と自分の元に戻って来ないかのようだった

そこへアルフィオが遅れて通りかかる
サントゥッツァは彼に告げる
ローラの不実 トゥリッドゥの不実
すべては 悲しいことに すべて真実なのだと…
アルフィオは それを聞くと どこかへ去って行った

* * * * * * *

ミサが終わり 人々は晴れやかに帰途につく
酒屋の息子であるトゥリッドゥは
群集に酒を大盤振る舞いする
その群集の中には 彼に目配せするローラも含まれている
そこへ突如 アルフィオが現われる
アルフィオにも 酒をすすめるトゥリッドゥ
しかし アルフィオは受け取らない

「この酒が 俺の胸の中で 毒になるといけないんでね…」

トゥリッドゥは悟る 彼が自分たちの関係を知っていることを
トゥリッドゥはアルフィオに決闘を申し込む
一触即発のムードに 群集は一人 また一人と去って行く

トゥリッドゥは 自分の死を予感する
彼も 強い人間ではなかったのだ
母さん、あの酒は強いね:Mamma,quel vino è generoso
と 酒に酔ったふりをして
彼は母に別れを告げる
そして最後に サントゥッツァへの優しさもにじませる

決闘は 行なわれた



「トゥリッドゥが 殺された!!」



不実な男は 最期に自分の行ないの責任を負った


カヴァレリア・ルスティカーナ
田舎の騎士として