動詞の活用 〜avere〜

S'io l'ho nel cor.
ぼくがそれを心に持っているかどうか。
モーツァルト作曲「フィガロの結婚」より
ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」

さきの項目では不規則動詞「essere」を学びました。
今回は、同じく不規則動詞で、よく使われる「avere」を学びましょう。
英語で言えば「have」と同じ意味です。
「〜を持っている」という意味のほかに、過去形を作ったり、
様々に用いられますので、活用は必ず覚えましょう。

単 数複 数
1人称hoabbiamo
2人称haiavete
3人称hahanno

ここで注意すべき点は、発音です。
イタリア語の基本的な発音方法は、「ローマ字読み」です。
(よく考えれば、「ローマ」は「イタリア」なわけですから、当然かもしれません)
しかし、ここで単数形をローマ字通りに読んでいくと、
「ホ」「ハイ」「ハ」となります
これはそのようには読みません。

イタリア語の発音で大切な規則、「Hは読まない
これをしっかり覚えましょう。

すると、単数形はこのようになります。
「ho」→「オ」/「hai」→「アイ」/「ha」→「ア」
同じように、3人称複数形「hanno」は、
「ハンノ」ではなく、「アンノ」になります。

アリアの中でも多く使われますが、
いざ音楽の中で聞いてみると、たった一音ぐらいで終わってしまい、
中には他の言葉とくっついてしまうため
(例文でも「l'ho」→「ロ」という他の音になっている)
実際の歌の中で聞き分けるのは、なかなか難しいと思います。

ですが文法上では、非常に重要な動詞ですので、
覚えておいて損は無いでしょう。
もうひとつ、例文を出しておきます。

me l'ha rapito!
私から彼を奪っのです!

この「ha」は、厳密には「持っている」の意味はなく、
過去形を作る補助動詞の役割を果たしています。
この場合の動詞は、「ha」+「rapito」(「rapire:強奪する」の過去分詞)
で出来ている近過去になります。

この場合の発音は…試しに「ha」の「h」を消してみましょう。
「l'ha」→「l'a」になりますね。
「'」は発音には関係ないので、「la」→「ラ」となります。

Hは読まない」。
とりあえず、このように覚えていて下さい。
例外もありますが、それはまた、後述します。

もうひとつの重要な発音の規則は、「アクセントは後ろから2つ目の母音に」。
これは例外がいくつかありますが、ほとんどの単語がこの規則に当てはまります。
1・2人称複数の「abbiamo」「avete」をこれにあてはめて読むと、
「アッビアーモ」、「アヴェーテ」となります。

イタリア語でいう「アクセント」とは、日本語の「アクセント」、
つまり「音の高低」ではなく、「音の長短」になります。
上のように、アクセントが付く部分は「伸ばす音」ととらえると
分かりやすいかもしれません。

これから先、アクセントのある位置は太字
表記することが増えると思いますので、覚えておいて下さいね。
ちなみに3人称複数「hanno」のアクセントは「ンノ」です。
これの発音規則については、次項で説明します。