私、君、あなた 〜主語人称代名詞〜

Ach, ich fühl's, es ist verschwunden,
ああ、私は感じる、それが失われたしまったことを。
モーツァルト作曲「魔笛」より
パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」

どの言語にもつきものの、「主語人称代名詞」。
「私」「君」「彼ら」…文法を学んでいると必ず目にする言葉ですね。
ドイツ語では、以下のように主語人称代名詞が決まっています。

単 数複 数
1人称ich(イッヒ):私wir(ヴィア):私たち
2人称du(ドゥー):君ihr(イーア):君たち
3人称er(エア):彼
sie(ズィー):彼女
es(エス):それ
sie(ズィー):彼ら/彼女ら/それら
敬称Sie(ズィー):あなたSie(ズィー):あなたがた

上の表で「敬称」の部分が、最初が大文字になっています。
これは私のタイプミスなわけではなく、大文字で書くことで
「3人称ではなく、2人称の敬称です」ということを表しているのです。

ドイツ語では「主語は省略不可能」です。
文中には必ず、主語になりうる言葉が入っているはずです。

Fühlst du nicht der Liebe Sehnen.

2人称の「du」がありますね。
他の単語の意味が分からなくても、とりあえず「君」に関して、
しかも親しい相手に関してのことを言っていることが分かります。
間違っても、これを「デュー」と読まないで下さい。「ドゥー」です。

では、親しい人に対して使う「親称3人称『sie』」が
文頭に来ていて最初が大文字だった場合、
敬称2人称『Sie』とどう見分けるのでしょうか。
答えは、「動詞の活用」にあります。
次の項目では、動詞の活用について書いていきたいと思います。