この作品について
原作:E.スクリーブ(フランスの劇作家)『ヴォードビル』
台本:フェリーチェ・ロマーニ(伊語)
初演:1831年3月6日 カルカーノ劇場(ミラノ)
夢遊病で男性の部屋に行ってしまい、そこで寝込んでしまって婚約者に貞操を疑われてしまう女性の物語(なんかこう書くとマヌケ??)。最後には疑いも晴れてメデタシメデタシ、というわけ。悲劇は一転、喜びのうちに話は終わる。
見どころとしては夢遊病でアミーナが目をつむったままソファーに寝るところ(見どころ…?)。歌手の演技力の見せ所でもある。目をつむったままの歌手をいかにソファーに誘導するか、というのも演出家の腕の見せ所らしく、中には香りのついたハンカチを頼りにソファーまで歩かせたという話もあるとか。
登場人物
- アミーナ/ソプラノ
夢遊病を持つ村の娘。持病ゆえに婚約者に貞操を疑われるが、最後には疑惑も晴れて愛する人と結ばれる。しかし、夢遊病が治ったとは誰も一言も言ってない。本当に喜んでていいのか?今回たまたま入っていっちゃった部屋の人が紳士な人だったから良かったようなものの…結婚後の彼女の方が危ぶまれます。アリアはリリコ・ソプラノのレパートリーにも多く含まれている。 - エルヴィーノ/テノール
アミーナの婚約者。村の青年。以上。(いいのか、これで?) - リーザ/ソプラノ
エルヴィーノに片思いしている宿の女主人。アミーナからエルヴィーノを奪おうと画策するが、最後にはその企みもバレてしまう。悪いことは、やるもんじゃありませんなぁ。 - ロドルフォ伯爵/バリトン
最初は見知らぬ紳士。実はこの地方の亡くなった領主の息子で、子供の頃、城から姿を消した。
あらすじ
第一幕
アミーナとエルヴィーノは、人もうらやむ恋人同士。今日は2人の婚約式。ただし、エルヴィーノに片思いするリーザには心浮かぬ日でもある。婚約の手続きが進み、エルヴィーノがアミーナに指輪を送った時、ちょうどそこにパリッとした身なりの見知らぬ紳士(実は亡くなった領主の息子、ロドルフォ伯爵)が通りかかる。彼は目指している城がまだここから遠いと聞き、リーザの勧めに従ってこの村で荷を解くことにする。彼は自分の身分を偽り、素性を明かさない。日が沈み、人々は引き上げ際に、近頃村に出没する幽霊の噂話をする。次いでロドルフォがアミーナに気のある挨拶をして別れたことから、恋人たちの間にちょっとしたいさかいが生まれる。宿でくつろぐロドルフォの許にリーザが訪れ、彼の正体を知っていると話す。そこへ人の気配が。あわてたリーザは去り際にハンカチを落としてしまう。そこへ登場したのは、幽霊ならぬ、夢遊病のアミーナ。こともあろうに伯爵の寝椅子で眠り込んでしまう。伯爵はそっと外へ出て行くが、リーザの目は見逃さない。そこへ村人たちがロドルフォ伯爵を讃えて伯爵の部屋を訪れるが、いるのは眠りこけるアミーナ。村人たちはびっくり仰天、リーザの知らせでエルヴィーノも駆けつけるが、折しも目覚めたアミーナは状況も分からず、言い訳のしようもない。怒ったエルヴィーノは婚約破棄を言い渡す。
第二幕
村人たちの要請でロドルフォはアミーナの潔白を証明するが、エルヴィーノの疑惑は晴れない。彼はアミーナの指から指輪をもぎ取り、リーザに乗り替えるそぶりさえ見せる。その時、リーザが落としたハンカチの一件が暴かれ、エルヴィーノは混乱してしまう。そこへ現われたのは夢遊状態のアミーナ。小川にかかる壊れかけた橋を渡り、身の潔白と恋人の愛情を失った嘆きを歌う(ああ、信じられない:Ah! non credea mirarti)。ようやく真相を知ったエルヴィーノは、改めてアミーナに指輪を送る。正気に返った彼女の喜びの歌:晴れやかな日:Come per me serenoに一同が和す。