カプレーティ家とモンテッキ家 / I Capuleti e i Montecchi

この作品について

原作:ロメオとジュリエットの悲恋物語伝説
台本:フェリーチェ・ロマーニ
初演:1830年3月11日 フェニーチェ座(ヴェネツィア)

 現実には存在しない物語。しかし人々はなぜ、これほどに悲恋物語を語り継ぐのか――。
 ちなみに人物の名前などはイタリア語読み(発音)になっているため、ロミオ→ロメオ、ジュリエット→ジュリエッタ、キャピュレット→カプレーティ、モンテギュー→モンテッキ(モンチッチではない←?)と少し耳慣れない言い方になっている。が、中身は一緒(そりゃあそうだろう)。
 死んだふりをして後で助ける、と聞くと、「火葬されちゃったらどうすんの?!」と思うかもしれないが、ヨーロッパでは火葬は必ずしも行なわれず、昔は洞窟みたいな場所(墓所)に遺体を棺桶に入れて安置するという習慣なので、この作戦が可能なわけです。成功しなかったけどね。

登場人物

あらすじ

第一幕
 代々激しい抗争を繰り広げているカプレーティ家とモンテッキ家。カプレーティ家の家長カペッリオの甥テバルドは、家臣にカプレーティ家の家長の長男を殺したモンテッキ家のロメオが和平を申し込んで来たことを告げる。ロメオはカペッリオの娘ジュリエッタと恋仲なのである。それを知る僧ロレンツォは和平を勧めるが、テバルド(実はジュリエッタの婚約者!)は愛の証としてロメオを討つことしか頭にない。カペッリオは今夜、婚礼の式を挙げると言い出す。そこへ顔を知られていないロメオが使者として現われ、和平とその証としてロメオとジュリエッタの結婚を申し出るが、カペッリオに一蹴される。かたくなな態度に怒ってその場を去るロメオ。愛していない相手と今日にも結婚、と言われたジュリエッタは悲しみのうちに、ああ、幾度か:Oh! quante volteと歌う。そこへロメオが現われる。激しい抱擁の後、一緒に逃げようと懇願するロメオ。だが彼女には家と父の名誉が捨てられない。ロメオは人の気配を察知し、去る。そしていよいよ婚礼の時。モンテッキ一族が乱入する手はずが進められている。ロメオはすでに決死の覚悟で敵の衣服をまとい、潜入している。モンテッキの乱入を告げる慌ただしい声。ロメオがジュリエッタといる所へカペッリオとテバルドがやって来てしまう。使者ロメオの身分が暴かれ、一触即発の事態に。

第二幕
 ロレンツォがジュリエッタに、ロメオが無事逃げたことを告げる。そして望まぬ結婚がら逃れるために、強い睡眠薬を飲むよう勧める。その薬で一旦死んだように見せかけ、墓所に葬られたところをロメオに知らせ、助ける手はずだと言う。彼女は恐れながらも薬を飲む。するとカペッリオが現われ、娘を自室に下がらせる。その時のロレンツォに疑念を抱いたカペッリオは、彼の外出を禁じてしまう。その頃、館近くではロメオとテバルドがはち合わせしていた。お互い剣を抜きかけたとき、館からジュリエッタの死を嘆く叫び声が。悲嘆に暮れる葬列を見送る2人。カプレーティ家の墓所にやって来たロメオは、ああ、清らかな魂よ:Deh!tu bell'animaと愛をジュリエッタに誓い、服毒する。ちょうどその時彼女は深い眠りから目覚めるが、時既に遅く、ロメオに死が訪れる。悲しみとロメオへの愛ゆえに、彼女もまた死の世界へ…。

(ヴァッカイによる後半のロメオのアリア「もし君が眠っているのなら:Ah, se tu dormi」)