ジュリアス・シーザー / Giulio Cesare in Egitto

この作品について

原作:ブッサーニ作『エジプトのジュリアス・シーザー』
台本:ニコラ・ハイム
初演:1724年2月20日 ロンドン・キングスシアター

 大歌劇作曲家だったヘンデルが残した数多い舞台作品中、唯一20世紀前半から上演されてきた人気作。版図拡大を続けるローマに侵攻されるクレオパトラ統治下のエジプトを舞台に、史実とは無縁に、政治的思惑と愛とが複雑に絡まるドラマが展開される。
 構造が単純なアリアとレチタティーヴォの連鎖は、かえって演出家や校訂者の想像力を刺激するらしく、かなり自由な発想の舞台や、時代を現代に移したりする演出も数多い。
 題はシーザーになっているが、実は一番大変な時にいなくて、最後のところだけまた出てくる。クレオパトラの方が主役な気がしますが。

登場人物

あらすじ

 シーザーがナイル河辺に上陸。政敵ポンペオの妻コルネリアが許しを請うところに、エジプトの統治者トロメオの軍事顧問アキラスがポンペオの生首を持参。遺児セストはトロメオへの復讐を誓う。ローマ人が不安なトロメオは、アキラスにシーザー暗殺を依頼。一方、女官に扮した女王クレオパトラは、シーザーを魅了する。

 コルネリアの美貌はトロメオをも虜にした。後宮でアキラスとトロメオがコルネリアを口説くころ、クレオパトラがアリア「あなたの優しい瞳よ:Vadoro, pupille」と誘惑しているところを襲撃されたシーザーは、海に身を投げる。アキラスは暗殺の成功を報告、褒美にコルネリアを要求するが、トロメオはこれを拒否する。

 内戦が勃発し、トロメオに捕われたクレオパトラは、「辛い運命に涙溢れ:Piangerò, la sorte mia」と嘆く。セストらは瀕死のアキラスを発見、トロメオに背いたアキラスは大軍の指導権をセストに譲り、後宮を襲うよう請う。

 暗殺を逃れたシーザー登場、新軍を率い女王を救出。トロメオはセストに殺され、戦いは終わる。勝利したシーザーとクレオパトラをエジプトの民が迎える。