オルランド・フリオーゾ / Orlando furioso

この作品について

原作:L.アリオスト作『オルランド・フリオーゾ』
台本:グラツィオ・ブラッチョーリ
初演:1727年 ヴェネツィア・サンタンジェロ歌劇場

 オルランドはカール大帝の甥で『ロランの歌』の主人公。アンジェリカは遠い中国の王女で、オルランドにこの島まで連れてこられた。メドロはサラセンの勇者。話の内容や登場人物を見る限りではヘンデル作曲の「アルチーナ」にそっくり。名前や役どころまでかぶっている人物までいる。
 ちなみに「フリオーゾ(furioso)」とは「怒り狂った、狂気の」という意味の形容詞。日本語にするなら「怒りのオルランド」といったところか。(なんだか格好がつかないな…)

登場人物

あらすじ

第一幕…魔女アルチーナに魔法をかけられた島の海辺
 勇敢な騎士オルランドは、アンジェリカへの愛によって困難に打ち勝つ、と歌う。アンジェリカは1人、嵐の海辺で愛するメドロがいないことを嘆くが、彼は瀕死で岸に流れ着く。(騎士が岸に流れつく…すいません、冗談です。)アンジェリカが助けを呼ぶと、魔女アルチーナが現れ、彼の命を救う。アンジェリカに冒険談を語るメドロ。そこへ突然オルランドが現れ、嫉妬のあまりメドロを殺そうとするが、アルチーナが「アンジェリカとメドロは兄妹である」と言うので、オルランドは謝る。アンジェリカはオルランドを愛している、と言うので、今度はメドロが嫉妬する。
 ひとり残ったアルチーナ。ペガサス(!)に乗ってやって来る騎士ルッジェーロに魅せられ、彼に魔法の水を飲ませる。たちまち、彼はアルチーナの妖計にかかり、彼女に魅せられてしまう。ルッジェーロの恋人ブラダマンテは、彼が自分を忘れて魔女の腕の中にいるのを見るが、その場をやりすごす。

第二幕…同じ島の中・森、山、洞窟など
 アルチーナから離れて1人でいるルッジェーロに、ブラダマンテは彼の愛の指輪で魔法を解き、彼を侮蔑して去る。それを慰めるオルランド。同じく魔法でアルチーナに魅せられた騎士アストルフォは、彼女に愛を訴えて愚弄される。ブラダマンテはルッジェーロを許し、2人は愛の歌を歌う。
 アンジェリカはオルランドから逃れる方法を考え、メドロにそれを話す。2人は愛を確かめあって分かれる。オルランドが現れると、アンジェリカは彼に、この断崖の上に登ってほしいと頼む。そこには永遠の若さを保つ水があるから、と。(なんだか通販のカタログにありそうな言葉…)勇を鼓して彼は危険な崖を越え、洞窟内に辿り着くが、閉じ込められる。謀られたと気づいたオルランドは、復讐に燃えつつもやっと脱出する。
 一方、森の中では、アンジェリカとメドロの結婚式。2人を祝福するアルチーナは、ルッジェーロが消えたことを嘆く。愛の喜びを歌う2人。洞窟から脱出して森に来たオルランドは2人の結婚を知り、怒りのあまり正気を失ってしまう。

第三幕…同じ島の中・ヘカテ神殿の入り口及び内部
 ルッジェーロとアストルフォはオルランドが死んだものと思い、善の魔女メリッサに頼んでアルチーナへの報復を企てる。ブラダマンテは男装し、たちまちアルチーナの関心をひく。そこへオルランドが現れるが、彼の狂気を知って驚いた人々は、アンジェリカを責める。オルランドはひとり、神殿にあった魔王の像をアンジェリカと思い、台座から像を下ろし、それを抱いて眠る。その途端、アルチーナの魔法はすべて破られた。勝ち誇るルッジェーロたち。アストルフォも援軍と到着。味方を失ったアンジェリカたちは恐れるが、正気に戻ったオルランドはアンジェリカとメドロを許し、結婚を祝福する。